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一週間経つのに、未だにずるずるずるずる…泣いてばっかです。
あんなに楽しみだった日曜日が怖い。明日私はどうやって過ごせばいいのかな。
でも、この一週間仕事すごく頑張ったと思う。たくさんのひとにいつも以上に言葉でありがとうって伝えたと思う。
ルルーシュとスザクがくれた明日を、親や友達、大好きな人たちに恥じないよう生きていきたい。
来週のスザルル祭りすごく楽しみです!一緒に行く友達がいなくても!(寂)ど、どなたか私も混ぜてください…うぅ(泣)

今日もスザルルでちょっと切なめ。
生まれ変わりを信じたい。彼らが今度こそ笑って信じあえる幸せな世界で手を取り合えますように。それが私の願い。








黒衣を纏い佇んでいる姿をナナリー越しの鏡に見て、スザクはそっと目を細めた。
まだ、どこか拭えない違和感がある。覚悟がどう、という話ではなく、その黒衣の姿を見ると、どうしても脳がこれはルルーシュだと判断するのだ。
(まだこの姿に慣れないからだろう)
スザクは人の気配に振り返る。ナナリーもつられるように扉へ視線を移した。
「ナナリー様、ゼロ様、お茶をお持ちしました」
咲世子がティーセットを運んで入ってくる。あの日の後も変わらずナナリーの傍にいることを願った咲世子を、ナナリーは喜んで迎え入れた。
白い猫足のテーブルの上に焼きたてのクッキーと温かな紅茶が置かれる。ナナリーが顔を綻ばせてテーブルに近づき、咲世子と笑顔で言葉を交わす。何とはなしに見つめているうち、それがかつてアッシュフォードでよく見た光景だと気付いてスザクは無意識に唇を固く引き結んだ。あの頃はこの光景のなかに彼がいた。
「ゼロ様、どうされました?」
咲世子の声にスザクは首を振る。
「何でもない。…いただこう」
ボイスチェンジャーを通した声はゼロそのものだ。しゃべるたび彼のことを思い出すのは、やはりこの声にも慣れていないからろうなと思いながらスザクは席に着いた。

「そう言えば、こちらをお預かりしてきました」
会談と会談の間の、ほんの僅かな空き時間。ティータイムもそろそろお開きかというそのとき、咲世子が白い封筒を差し出してきた。
「何ですか?…まぁ!」
両手でそれを受け取ったナナリーが、封筒を裏返して驚きと喜びに目を丸める。咲世子が持ってきたものなら危険もないだろうと思っていると、咲世子はナナリーに差し出したものと似た封筒をスザクにも差し出した。
「ゼロ様にも、届いております」
仮面越しにじっと見つめられる。その視線はどこまでも真っ直ぐで、逸らすことはできない。スザクは頷いてその封筒を手に取った。
差出人はアッシュフォード学園生徒会一同となっていた。何と言えばいいのか分からず、もう一度頷く。咲世子は表情に感情を乗せることなく、ただゆっくりと腰を折った。
「ナナリー様、ゼロ様、そろそろお時間です。お支度を」
ナナリーの顔が幾分厳しいものになる。シュナイゼルの名代―実際は代表そのものだが―として会談に臨む以上、優しい言葉ばかりを紡ぐわけにはいかないと既に身をもって知っているからだ。
本当に兄妹そっくりだとスザクは思う。優しいくせに自分にも他人にも厳しい、優しいからこそ残酷で慈悲深い。
「行きましょう、ゼロ」
車椅子を押しながら部屋を後にする。磨き込まれて飴色に輝く長い廊下を淀みなく進む。
世界はやさしい世界になりつつある。彼の願った世界だろうか。まだ遠いだろうか。
いつか世界はきっと忘れてしまうだろう。全てのものは良くも悪くも薄らいでいくから。けれど、そんなことはさせない。スザクは歩きながら、ぴんと背筋を伸ばした。
彼の願いを守り、支え、必ず遂げてみせる。それがスザクの罰であり意味であり願い。
眼前で重厚な扉が開かれる。
小さく、ナナリーが「ゼロ、」と呟くのが聞こえた。声を返す代わりにスザクは力強く一歩を踏み出した。



幾重にもかけられた鍵を開錠してスザクはゼロのプライベートルームに入り、仮面を外した。黒衣を脱ぎながら息をつく。C.C.も姿を消した今となっては、この私室にスザク以外の誰も入ってくることはない。
ソファに腰かけ、ポケットから封筒を取り出す。もう一度差し出し人を見つめて封を切る。中には、一枚の写真と短い手紙、そして一回り小さい封筒が入っているようだった。
スザクは首を傾げながらまず手紙を開く。そこにはただ一言、『あなたの分』とだけ書かれており、紅月カレンと記されていた。
あまりにも短いその文面に、彼女らしいと思わずスザクは苦笑する。
写真はクラブハウスで撮られたものだった。珍しく全員が集まって、ミレイが作ったブランチとルルーシュ手作りのデザートを食べたときのもの。ニーナがおらず、ナナリーではなくロロが写っていることと、スザクとルルーシュが以前のように傍に寄っていないことだけが少しの寂寥を呼ぶ。けれど、皆笑顔で写真に収まっていた。湧き起こる何かが胸を締め付ける感覚。
もう一つの封筒を手に取る。それを裏返したスザクの思考が一瞬止まった。見慣れた、けれど懐かしい名前。神経質な性格を表すように少しだけ右肩上がりの筆跡。
――ルルーシュ・ランペルージ
封を切る指先が僅かに震えているのが分かった。ああ、あのときの、と記憶がスザクの脳裏によみがえる。
『枢木スザク様』
もうこの先誰も呼ぶことのない名前が彼の文字で綴られている。スザクが初めて見る、彼の書く日本語だった。





「手紙を書きましょう!」
光の溢れる午後、いつもの調子で提案されたミレイの思いつき。
誰にですかとリヴァルが返し、口には出さずにルルーシュがやれやれと顔を曇らせる。ロロは手紙?と呟いたままミレイの言葉の続きを待つ。スザクは面々の顔を見ながら、ロロと同じようにミレイを見つめた。
「手紙よ、手紙!誰でもいいの、自分の大切な人に書いて送るのよ。手紙版タイムカプセルね!皆の手紙はこのミレイ・アッシュフォードが責任を持って保管するわ」
「タイムカプセルって普通埋めたりして、何年後かに皆で掘り起こしたりするあれですよね?」
カレンが不思議そうに首を傾げた。
「それじゃ普通すぎて面白くないでしょっ!というかそれも別にやる予定よ、安心して!」
「誰も心配なんてしていませんよ、会長」
ふうと大きく溜息を吐いてルルーシュがミレイを振り返る。
「そもそも会長が管理ってどういう、」
「いいところに気がついたわね、ルルーシュ!」
ルルーシュの言葉を待たずにミレイが意気揚々と声を張り上げた。
「皆手紙を書いたら、いつ私にその手紙を届けてほしいのか言ってね。そうしたら私は言われた通りの日にちゃんと相手にその手紙を届けてあげるってシステムよ」
「素敵!やりましょう、ぜひ!!」
シャーリーが顔を赤らめつつも興奮気味に手を挙げて賛成の意を示す。それに満足そうに頷いて、ミレイは用意していた便箋と封筒を全員に配った。
「一人一通ね!便箋はた~っぷりあるわよ!はいっ、スタート!」
今ですか!?と慌て気味に返すリヴァルを横目に、ロロが戸惑いながらもペンを手に取る。
「50年とかそんな先の指定はムリよ~。でもおばあちゃんになって届く手紙もロマンチックねぇ。提出期限は明日ね。各自私まで直接持ってくるように~!」
ミレイの声は弾んでいる。なんだかんだと楽しそうに思案し始めたメンバーを見ていると、横から便箋と封筒が差し出された。
「ほら、お前の分だ」
ルルーシュだった。スザクがそれを受け取りながら「いいの?いつもだったら止めに入るのに」と問うと、ルルーシュは肩をすくめて「いいさ」と笑う。
「会長なりの寂しいってアピールなんだろう。もうすぐ卒業だしな。もう会えなくなるわけじゃないと分かってても、それとこれとはまた別なんだろう」
そう言って笑う。やれやれと言いたげな、けれどもっとずっと温かいものに満ちた微笑みだった。
「君でもそんなことを言うんだね」
思わず出たスザクの言葉に、きょとんと数度瞬いた後、ルルーシュは笑った。
「そういう日もあるさ」
綺麗な笑顔だと思う反面、スザクは「違う」と思った。
本当に言いたかったのは、聞きたかったのは、


―――君も寂しいの?






『元気だろうか。
今更手紙というのも不思議な感じがするが、まぁいい機会かもしれないな。

今、世界はどうなっている?
ナナリーの望んだやさしい世界だろうか。
皆は元気でやっているだろうか。
アッシュフォードは変わらずあるだろうか。
お前は笑っているだろうか。


俺の願いが全て叶っていることを願う。
世界が優しくあるように。
ナナリーが幸せであるように。
お前が幸せであるように。


我が友 枢木スザクへ』







ぱた、と部屋に小さく音が落ちた。
それは止むことなく落ち続ける。

彼はいつからそのつもりだったのか。
ギアスという力を手に入れるその前からか。
スザクには分からなかった。今となっては問う相手もいない。
「ほんとに…ずるいよ」
ずるずるとソファに沈み込むように凭れ掛かりながら、スザクは声を震わせた。
揺れる視界にゼロの仮面が映る。スザクは微笑んだ。
「世界は、変わったよ。今も変わってる。皆元気だ。ナナリーは強い子だし、僕は死んでしまったけど、でもこうやって笑えてる」
そうか、と彼の声が聞こえた気がした。
「君との約束は守る。君の願いも守ってみせる。次に会ったら僕を褒めたくなるくらい、完璧に」
スザクは顔を拭うと、手紙を封筒にしまった。写真とカレンの手紙とを合わせて、サイドテーブルの引き出しに入れる。
「でも、僕だって寂しい。そんな日もあるさ」
だって、と続く言葉をスザクは飲み込んだ。
振り返ることなく寝室へ向かう。

(きみが、いない)




きみの永遠の不在
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