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Author:ゆつき

「また明日、その言葉が」の第3話です。
じりじりと一進一退な模様。。。
続きの中に押し込めておきます。





スザクの視線を背中に感じながら、気付かれないようルルーシュは呼吸に紛らせて小さく息を吐いた。
自分とナナリーとで完成していた世界に現れたイレギュラー。それがスザク。
けれどそのイレギュラーを認め、受け入れ、終いには唯一無二の親友だと位置付けてしまったのはルルーシュ自身だ。
7年前にスザクと生き別れて以来、ルルーシュは街角で日本人を見かけるたびにスザクのことを思い出した。
幼かった自分にはどうしようもなかったと思う。けれどそう思うそばから、いいや他にも手はあったはずだと唇を噛む。
既に過ぎ去った過去に仮定など意味はないと知りつつも、スザクの手を離したことを後悔せずにはいられなかった。
だから、あの日再会できたことがどれほど嬉しかったか。その直後に自分を庇って撃たれたスザクの姿がどれほどショックだったか。
『そんな、意地悪言わないで』
あんなセリフが欲しかったわけじゃない。けれどスザクはきっと頷かないだろうと頭では分かっていた。それでも口にしたのは、ゼロでだめでも、自分なら―――親友のルルーシュの言葉なら。そんな考えを捨て切れなかったからだ。
あれだけ拒否されておきながら、まだあり得ない奇跡に賭けて夢を見ている。だからC.C.に甘い甘いと言われるのだと、ルルーシュはくっと唇を自嘲に歪めた。


作り終えたおにぎりを弁当箱に詰めてルルーシュが振り返ると、スザクが思いきり頬を緩めながら夕食を食べ終えたところだった。
「ごちそうさまでした!おいしかった!!」
ふーっ、と満足そうに手を合わせながら満面の笑みでルルーシュに頭を下げる。
頬に付いた米粒を取ってやりながら弁当箱を渡すと、スザクは一瞬目を瞠ったあと耳を赤くして礼を言った。その様子に首を傾げながらも、ルルーシュは向かいに腰を下ろした。
「それはよかった。折角だからな、おまえの好きな具を詰めておいたぞ。明日の朝食にでもしろ」
「具?もしかして、「鮭とオカカと梅干!」」
綺麗に重なった声に、2人は顔を見合わせて笑った。
「ツナマヨとかも美味しいけど、やっぱりこういう定番!っていうのがいいんだよね」
「まぁ分からないでもないな。梅干は咲世子さんが漬けたものだ。美味いぞ」
租界には数多くのスーパーがあるが、日本食を取り扱っている店舗は数えるほどしかない。だから咲世子さんが作ってくれているんだと言うルルーシュに、スザクは僅かに眉を寄せた。しかしそれにルルーシュが気付くより早く、いつもの笑顔に戻す。
「そうなんだ。楽しみだなぁ」
「お前の上司にも言っておけよ、米には塩だと」
苦笑するルルーシュに頷いて返し、スザクは弁当箱を持って立ち上がった。
「そろそろ帰るよ。夜中なのに長居しちゃってごめんね」
「ああ、もうこんな時間か。こっちこそ悪かったな。仕事明けだったのに」
連れ立ってクラブハウスの玄関へと向かう。
「今日は本当にごちそうさま!また君の作ったご飯が食べられるなんて思ってもみなかったな」
大きな目を嬉しそうに細めて笑うスザクに、ルルーシュは胸のうちに再び鈍い痛みが広がるのを感じた。
どうすれば。
どうすればいい。
離れていた間に、自分の知らない目をして笑うようになったスザク。ルルーシュはその笑みを直視することができなかった。
「ルルーシュ?」
反応を返さないルルーシュの顔をスザクが覗き込む。
近付いた翡翠めいたスザクの目に映った自分自身から目を逸らすように、ルルーシュは笑ってみせた。
「何でもないさ。また来い。ナナリーも喜ぶ」
スザク、お前が。
お前が、俺のものになればいいのに。
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