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スザク誕生日おめでとーう!
ということで、スザルル(未満)SS。次に澪さんとやる現代パロ設定で甘めな話をひとつ。
予備知識としては、スザクとルルは戦争もギアスもない世界で同居しながら普通の高校生してます。

恋したくなるお題」さんの意地っ張りに恋したお題を拝借。

本編は続きの中に↓





スザク、と呼ぶ彼の低い声が好きだ。
振り返ったときに嬉しそうに細められる紫の目が好きだ。
上等な陶器のように白い、細くて長い手足が好きだ。
駆け寄ると満足気に緩む柔らかそうな頬が好きだ。
香水をつけているわけでもないのに、時折風に乗って香る彼の匂いが好きだ。
お得意のポーカーフェイスが僕にも通用していると思ってる、頭はいいのにちょっと抜けてるところが好きだ。
面倒だと言いながらも、大会で授業に出られなかった僕にノートをコピーしてくれるところが好きだ。
下ごしらえから完璧に作られた、少し薄味の彼の作る料理が好きだ。
朝、空の色が変わり始める頃に、暖を求めて僕に擦り寄ってくるところが好きだ。

つまり、僕はルルーシュが大好きだ。



「なにをにやにやしている。手が空いているなら皿でも運べ」
カウンターキッチンの向こうから、白いエプロンをつけたルルーシュが湯気を立てるお皿を渡してきた。また見蕩れてしまっていたらしい。素直に頷いてそれを受け取る。
「シチューだ!」
「お前が食べたがっていたからな。この暑いのに物好きなことだ」
サラダを盛り付けながら肩をすくめるルルーシュに首を傾げてみせる。
「そうかなぁ。暑いときこそ熱いご飯だよ。体にもいいしね。ルルーシュはもうすでに夏バテ入ってるだろ?」
だから君の体にだっていいはずだよと付け足せば、ルルは耳をうっすらと赤くしながら「そんなことはどうでもいい。ほら、さっさと運べ」と言ってまたお皿を突き出してくる。そんな分かりやすい照れ隠しなんか、可愛いだけなのに。
「美味しそうだね!早く食べようよ、ルルーシュ」
一人暮らし―しかも男子高校生の―には縁のないシステムキッチンが有効に活用され出してから数ヶ月、料理はもはや趣味だと言い張るルルーシュのおかげで僕の食生活は素晴らしいことこの上ない。
結局何度もおかわりをして、シチューの入っていた大きな鍋をほとんど一人で空にしてしまった。もともと食が細いルルーシュは、3日はもたせるつもりだったのにと呆れていたけれど、美味かったのならいいと最後にはいつものきれいな笑顔を見せてくれた。
それから一緒に食器を洗って(これくらいなら僕にもできる)、テレビを見て、出されていた課題を見てもらって、普段どおりに笑って過ごす。
ルルーシュが住むようになるまでは広くて無機質に感じていた部屋が、今ではかけがえのない大切な場所だ。ルルーシュがいるだけで、ただの2LDKが特別な空間に思えてくる。前にそれを言ったら「安い奴だな」と笑われたけど。

「あー、我が家だなぁ」
手足を伸ばしながら背中からベッドに倒れこむ。
すると、反対側に座って分厚い本を広げていたルルーシュが不思議そうに首を傾げた。お風呂上りでまだ湿っている黒髪が白い頬に影を落とすのが見えて、そんな普通のことにすら心臓が走り出しそうになるのが分かる。なんでルルーシュはこんなに色っぽいのかな。同じ男のはずなのに。
「今更なにを言ってるんだ。賃貸とはいえ、契約を交わした時点でここはお前の家だろう」
言うと思った。
「まぁね。でもそういうことじゃなくてさ、」
うんしょと勢いをつけて起き上がる。ベッドの上に座ってルルーシュの顔を覗きこむように近づけば、ルルーシュの目の中に自分の顔が映るのが見えた。
「近いぞ、スザク」
その目から見える僕はどんな“枢木スザク”だろう。
「ルルーシュがいて、僕がいて、一緒にご飯食べたり勉強したり喋ったり寝たり笑ったり喧嘩したりできるから。それが幸せだなって」
僕はルルーシュじゃないからそれを知ることはできないけど、ちょっとでもかっこいいといい。ちょっとでも頼りがいがあるといい。ちょっとでも良く見えるといい。
「だから、ここが僕のいたい場所でいるべき場所で、」
そうして僕のことをほんの少しでも特別に思ってくれるといい。
「我が家だなって思ったんだよ」
そしたら、僕はきっとそのチャンスをもう二度と逃したりしないのに。今度こそ、君を攫ってでも一緒にいる道に進んでみせるよ。
「な、にを言って」
ルルーシュが口を開いた途端、それまで何の変化もなかった顔がみるみるうちに真っ赤に染まっていく。やっと僕の言葉が咀嚼されて脳までいったんだなと分かった。
「ん。だから、そういうこと」
笑って見せると、ルルーシュは困ったように眉を下げてちょっと泣きそうにも見える表情で
「な、なにを突然言い出すかと思えば!だからここは契約を交わした時点でお前の家であって、家賃を折半しているんだから俺の家でもあって、」
尋ねてもいないことをべらべらと流暢に話し出した。
微妙に泳ぐ視線を追えば、目元がこれ以上ないくらいに赤くなっていて、目にはうっすらと水の膜が張られている。
舐めたら甘いかな、なんてルルーシュが知ったら怒りそうなことを考えていたら、どこでどうスイッチが入ったのか、無性に目の前のルルーシュを抱きしめたくなってきて、
「よって、考えられる37の仮説のうちでも……ほぁわっ!?」
気付いたら、僕は願望を忠実に行動に移していた。ルルーシュが相手だと、下心と言うよりはもう本能に近いかもしれない。
腕の中で薄い肩が揺れる。首筋に当たるルルーシュの耳たぶの先が少しだけひんやりしているのが気持ちよかった。
生粋の日本人だけどスキンシップはどちらかというと多いほうだと思う。試合後の気分が高揚しているときなんかは抱きついたりもするから、公道のど真ん中でない限りは、基本的にルルーシュが嫌がることはない。とは言っても、今のルルーシュはただ単に驚いて突き放すという行為そのものが頭から抜け落ちているだけかもしれないけど。
「ルルーシュは?」
「な、なななにがだ!」
少しどもっているのも恥ずかしがっているからだと思えば可愛い。腕から少し力を抜いて、至近距離で見詰め合うように視線を合わせると、声を裏返させながらルルーシュが力強く見返してきた。まるで目を逸らしたら負けだとでも思ってるみたいだ。
「この家、好き?」
「す、好きだ。気に入っていなければこんな狭い家に何ヶ月も住んでいられない」
本音と建前を使い分けるのは日本人だけじゃないんだな。
「僕と一緒だと楽しい?」
でも僕はずるいから、ここで止めてなんてあげないけど。
「な、なにを言わせたいんだ!放せ、スザ…」
「僕を、好き?」
金魚のように口をぱくぱくさせながら、ルルーシュは「あー」だか「うー」だかと唸り始めた。
ルルーシュがはぐらかすなら僕もと用意していた「友達としてだよ」という言葉を胸の中にしまう。
「僕を、好き?」
畳み掛けるように繰り返せば、小さく、ほんの僅かに―それこそ1ミリだけ、というレベルで、それでも確かに顎を引いた。
「……ルルーシュ?」
動体視力には自信があるけど、さすがにこの件に関しては疑り深くもなる。
ルルーシュの肩に置いた手に力を込めながら、より顔を近付けて覗き込んだ。



その沈黙の意味は「Yes」?
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