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長らく間を空けてしまってすみませんでした…っ!!かくかくしかじかありまして(汗)いやっ、言い訳など不要!必要なのはスザルルへの愛だけっ!

Le Petit Prince 第2話です。うっきうっきしながら書きました。今から澪さんの続きが楽しみです(鬼)
では続きから本編をどうぞ。

二話目 Author:ゆつき






何度想像したか分からない。
ルルーシュがブリタニアへ帰ってからずっと、何度も何度も成長した彼はどんなふうになっているだろうかと繰り返し想像してきた。
まだ幼かったあの頃でさえ、すれ違う人間がこぞって振り返るほど綺麗な顔立ちをしていた彼。
今どれほど美しく成長しているのか見当もつかなかったけれど、きっとあの柔らかな黒髪と光の加減で色味を変える紫紺の目は一層綺麗になっているに違いない。
写真のなかで時を止めたまま、僕にとってのルルーシュは未だに細く小さな体で凛と立つ、意地っ張りで優しい10歳の少年のままだ。
できるならもう一度会いたいと思い続けてきた。
けれど連絡先も知らず、マリアンヌが死んで以来薄くなるばかりの両家の繋がりは、父親が失脚した今となってはほぼないに等しい。家を捨てた身ならば尚更だ。
けれど、いつかきっとまた会いたいと、自分たちならば未来のどこかで不意に出会えるのではないかと思ってきた。

そんな矢先の初夏のある朝。
僕はもしかしたらマンガのなかの住人だったのかもしれない。



Le Petit Prince 2



「どうしたスザク、そんな間抜けな顔をして。せめて口を閉じろ。涎が垂れるぞ」
あの頃より随分と流暢になった日本語で、6年前は使わなかったガサツな言葉を話す、とてつもない美人。
「なんだ、ランペルージ、知り合いなのか。なら席は枢木の隣でいいな」
教室中の視線を集めながらも、全然気にしている様子もない。きっと気付いてすらいないんだ。彼は昔からそういう視線に疎かったから。
「ありがとうございます、先生。久しぶりの日本で緊張しているので助かります」
にっこりと笑って担任すら一瞬で陥落させたその美人は、長い足を颯爽と進めて窓際の一番後ろ、昼寝にはもってこいのベストポジション――つまり僕の席の前で立ち止まる。
「今日から転校してきた、ルルーシュ・ランペルージだ」
教師に向けたものとは違う、彼が本当に心のうちに入れた相手にだけ向ける特別な微笑み。
それを見た途端、停止していた頭に一気に情報が流れ込んできて、逆に真っ白になるのが分かった。
まさかそんな。
嬉しい。
どうして。
ありえない。
でも今朝ニュースで。
そう考えれば不思議じゃない。
でもまさか。
だってここは日本で。
嬉しい。
これは夢なのかな。
泣きそうだ。
都合がよすぎる。
だってこんなのまるでマンガだ。
「よろしく」
何度目を凝らしても、目の前の人物は消えない。
夢でも蜃気楼でも自分の願望が作り出した白昼夢でもないようだった。
いや、もしかすると、僕は実は登校中に車にでも撥ねられて今病院のベッドの上にいるのかもしれない。考え付く限りの“もしかして”をたくさん頭に浮かべる。しつこいほど疑ってかかるのは、そんな幸運に恵まれるほど清く正しく生きてきたわけじゃない自覚があるからだ。
いや、でも、もしかして、そんな言葉が浮かんでは消える。
けれど、目の前に差し出された手は、記憶のあの日のまま白くて綺麗なままだ。成長して昔より長くなった指の先に、形のいい薄桜色の爪が並んでいる。
「………………………………ル、」
うまく声が出せずに、捻り出したような掠れた声が出る。滑稽だと頭の隅で思った。けれど、その声と続くはずだった言葉を拾ってくれたらしい目の前の幼馴染は、綺麗な顔をふわりと緩めて
「枢木スザク、元気そうでなによりだ」
胸の前で固まっていた僕の手を取ると、唇の端を満足そうに上げて笑う。
昔自分で作った釣竿で魚が釣れたときに見せた、してやったりと言わんばかりの得意げな顔。いつもは大人びた彼が年相応に見えるその笑顔が、僕は大好きだったんだ。
「ルルーシュッ!!」
何を言えばいいのか分からない。だけど、その笑顔の近さとか、握った手の温かさと存在の確かさに、僕の脳みそはあっさりと思考を放棄した。
「ほわぁぁっ!?」
僕は考えるより先に背中に回した腕に力を込めた。咄嗟のことに反応できないまま、ルルーシュは僕の腕のなかで体を強張らせる。
「ルルーシュ!ルルーシュ!!」
それまでざわついていた教室が水を打ったように静まり返った。でも目の前のルルーシュに夢中で僕はそんなことにも気付けない。力の限り、まるで縋るみたいに抱き締め続ける。
「ルルーシュ!」
それ以外の言葉を忘れてしまったみたいに、ルルーシュの名前しか頭に浮かんでこなかった。
まとめきれない色々な感情がぐるぐるに絡まって、しばらく使っていなかった涙腺を熱くさせる。
「いっ…、いい加減に!しろっ!!」
ガスン、と鈍い大きな音が足元で聞こえた。一拍置いて、足の甲に強烈な痛みが走る。ルルーシュが革靴の踵で思い切り踏み付けてきたらしい。どれだけ華奢でも、ルルーシュは間違いなく男で、微塵も加減されなかった蹴りは僕の頭をこちら側へ戻すのには十分だった。さっきとは違う意味で涙が浮かぶ。
痛みに思わず身を引くと、目の前で顔を真っ赤にした幼馴染がふるふると肩を震わせている。
「痛いよ!何するの、ルルーシュ!」
「こっちのセリフだ、馬鹿スザク!」

これが6年ぶりの再会だった。
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