こんばんは、ゆつきです!
ギアスで本を出したい熱がまた高まってきてます。1月のインテ…申し込もうかどうしようか真剣に悩み中。需要がないのが痛い(苦笑)実際手にとってもいいよと言う方はどれくらいいらっしゃるのか…。
携帯電話でぽちぽち打っていたらできたパラレル短編を下に入れてます。
ギアスも戦争もない世界で、スザクがルルに一目惚れする話です。2人は違う学校で、スザクはジノ・アーニャと同じ学校に通ってる設定。
ルルが女装してますので、苦手な方はお気をつけください。
お題は
「恋したくなるお題」さんから。
スポーツ推薦で入った高校は、僕の家から電車で40分のところにある。
朝練にあわせて5時過ぎには家を出るおかげで、2年に進級した今でも未だに朝のラッシュには縁遠い。
空席ばかりが目立つ、静かな通学電車。
そこで僕は君を見つけた。
きっと、この日の為に「好きな人がいるんだ。だから、ごめん」
そう言って頭を下げると、小さな声でいいんです、ありがとうと言って、名前も知らない女の子が走り去って行った。その背中を見送って、思わずため息をつく。
好意を寄せられれば嬉しい。だけどその告白を断るのは精神的にかなり疲れるのだ。これなら部活で走り込みを50本やったほうが断然マシだと思う。
「なになに!スザク、好きな子できたのか!?」
突然どかっと肩に重みが加わった。
「ジノ…重い。立ち聞きも趣味悪いよ」
「わたしも興味、ある。スザクの好きな子」
ジノの横でアーニャが携帯を抱えながらじっとこっちを見つめている。
「なぁなぁ、どんな子なんだよ?今までどれだけ可愛い子に告白されても、興味ないからの一点張りだったスザクの好きになった子って」
完全に面白がっているジノに、うるさいと返すが全く聞く耳を持っていないようだ。
「可愛い子?美人?この学校?年下?年上?」
こっちが返事を返す間も与えないほど、矢継ぎ早に質問を浴びせてくる。僕は今度こそ大きなため息を吐き出して、引き下がる様子を見せない2人に向き直った。
「黒髪の美人で、うちの学校じゃない。一度見ただけだから年上か年下かも分からない。これでいい?」
これで満足するだろうと教えてやれば、2人が謎の「おぉ~」という声を揃って上げた。
「美人タイプか、意外だな。私はてっきり、スザクは可愛い系の子が好きなんだと思っていた」
ジノの言葉にアーニャも興味深そうに頷く。「初の一目惚れ記念」と言って写真を撮られた。
「あれ、何で初めてって知ってるの?僕一度でもそういうこと言ったことあったっけ?」
クラスメイトとならまだしも、少なくともジノとアーニャにそういった恋愛に絡むような類の話を自分からしたことはなかったはずだ。
「なんとなくだよ。スザクは基本的に好きになるのに時間がかかるタイプだろうなってアーニャと言ってたんだ。で、一度見ただけって言ったけど、どこで?」
「電車の中。学校来るときに一度だけ」
県大会を控えたある日、いつも通りのガラガラの電車で彼女を見つけた。
薄く緑がかった白地のジャケット、極端なほどに短い黒のミニスカート、長い足を太ももの半ばまで覆うニーソックス。グリーンのネクタイに刺繍された校章を見なくても分かった。あの制服は進学校で有名なアッシュフォード学園のものだった。
腰まで届く黒い髪、日本人じゃあり得ない雪みたいに真っ白い肌、制服の中で体が泳ぐぐらいに華奢な身体。
びっくりした。ただただ純粋に、単純に驚いた。一瞬息が止まるくらいに。こんなに綺麗な人間がいるのかと本気で思った。
人の美醜になんてほとんど興味がなかったのに、僕はそこで初めて人に見惚れるということをした。
「告白は?しないのか?」
ジノがアーニャの頭に顎を乗せながら、ふと真面目な顔をして見つめてくる。
普段は笑みを浮かべていることの方が多いジノが稀に見せるこの表情が少し苦手だった。どれほど親しい相手でも一定の距離を保って境界線を踏み越えることをしないジノだからこそ、妙な緊張感が生まれる。適当に言い繕って無難に逃げるということが出来なくなる気がしてしまうのだ。
「次に見つけたら迷わずにするよ」
そう言うと、ジノはなぜか満足したとでも言いたげに、うんうんと何度も頷いた。アーニャまで「楽しみ」と言って再びシャッター音を鳴らす。
「私も見てみたいな、その彼女」
「絶対だめだ!」
2人がきょとんと目を瞬かせて僕を見つめた。自分で思っていたより声が硬いものになっていたと気付いて、ばつが悪くなる。
「わたしも見たいのに。だめ?」
アーニャがことんと首を倒して不思議そうに見上げてきた。ジノも同じように首を捻っている。
「なぜだめなんだ?いいじゃないか、見るくらい」
それへ上手い返事を返せずに、「とにかくだめだ」と言い張った。つまらなさそうに唇を尖らす2人を置いて、改札口をくぐる。
「じゃあまた明日」
返事も待たずに電車に飛び乗った。視界の端でジノとアーニャが顔を見合わせて肩をすくませているのが見えて、そっけなさすぎたかなと思いつつも、まぁいいかと思い直す。
電車に揺られながら、前から3両目の車両に移動した。あの日彼女が経っていたドアの前の空間を見つめる。目に焼きついたあの日の光景は今でも鮮明に思い出せるのに、ここに彼女の姿はない。
ふと、さっきのやりとりを思い出して思わず苦笑が漏れた。だってそうだろう?
まだ名前も知らない彼女に独占欲が生まれたなんて、どれだけ自分が本気になっていたのか自覚してしまったんだから。
僕が生まれて初めてする本気の恋。
きっと君が僕の生まれてきた理由になる。
ルルは男女逆転祭りで女装していた、ということで(私はにょルルもいけるので全然どっちでもいいんですが。笑)←そこのところを全然考えてなかった
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